読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

田原凌祐の鍵盤弾き語り日記

広島県出身20歳、キーボード弾き語りシンガーソングライターが未だに青春してる10の理由

『Post-it』 ライナーノーツ

3rd SINGLE『Post it』に収録されている全10曲を一曲一曲紐解いていくライナーノーツを公開

 

※CDについての詳しい話は前回のブログから

『Post-it』 トレーラー映像を公開 - 田原凌祐の鍵盤弾き語り日記

 

01. 希う
2017年の一番最初に書いた曲です。「希う」とは強く切望するという意味です。自分がどんな人間かとか、どんな道のりを歩いて来たかとか、それをどんなに誰かに伝えようとしても殆ど伝える事は出来ません。相手の事をどれだけ分かろうとしたって、どれだけ話してもらったって、全てを知る事なんて到底出来ません。それが凄くもどかしくて、悔しいと感じたのがこの曲を書くきっかけでした。でも例えば握った手の強さだったり、僕だったら一曲歌を歌ってみたり、想いを表す方法はいくらでもあって、それだけで十分に言葉を超えていけるしその方が時間が凝縮されてるなって。その事に気付いた時、一気に空がひらけました。伝える事の出来ない生きて来た時間の隠喩として、人間の寿命と同じ蜜柑の木を用いています。

02. Whatever
壮大なロックバラードを制作したいと思い、詞やメロディーも洋楽のニュアンスを取り入れたいなと思って制作しました。洋楽のリリックは基本的にストーリーではありません。意味じゃなくてフレーズの美しさやカッコよさでグッとさせられます。だから言葉の羅列も入れ替えて、日本語詞とは違う英語詞の雰囲気を意識しました。ちょうどこの時、東京国際映画祭に行ったのもあって、そこからのインプットも曲に活かされています。「僕と君」というふたりだけの世界というものに特化して作ったので、大切な誰かを想って聴いてほしいです。 

03. ランナーズハイ
湘南国際マラソンのテーマ曲として作りました。「42.195kmの距離」と「過去から未来までの時間」を重ね合わせています。同じ距離を走ったってそれぞれのタイムや疲労があるように、生きている時間も人それぞれの道のりがあります。どれだけ前と差をつけられて一人のレースが続いても、その人にはその人なりの秘めた想いだったり、自分を変えてやるんだっていう熱意だったりがあるはずです。結局は他人じゃなくて自分自身。努力も嘘も優しさも強さも、誰かが見てなくたって全て過去が知っています。

04. remember to forget
「Good-bye Good-bye Good-bye」の部分が最初に降りてきて、ここから膨らませた結果、青春時代の恋愛を懐かしむような曲になりました。自分の高校時代をモチーフにしています。この曲の主人公は歌詞からも分かるように恋愛がとても不器用な奴です。「出会わなくても出会えたよ」というフレーズを書いた時に自分でも意味が分からなくて、繋がるような他な言葉も沢山浮かんだけど、この響きが妙にしっくり来てこのままにしました。ここからインプットを受けて、『remember to forget』という”忘れる事を覚えておく”という言葉遊び的なタイトルを後付けしました。10回近く転調もしてて、コード進行にかなり苦労しました。

05. 9番
2017年2月8日、私立恵比寿中学松野莉奈さんが18歳の若さでこの世を去りました。9番というのは彼女のエビ中の出席番号です。エビ中楽曲『手をつなごう』で彼女のパートに“生きてることの喜び 今忘れちゃいけない“という歌詞があります。そして昔、雑誌の取材で「生まれ変わったら何になりたい?」という質問に「また自分になりたい」と答えた事があります。特にこのふたつを曲を書くうえでのレールにしました。いつもみたいに捻ったりするのは出来るだけ抑えて、最後の締めくくりに関してはかなり時間を掛けたけど、これほどシンプルな言葉を超えるものは他にありませんでした。「失って初めて気付く」とよく言うけど、僕も大切な人を3年前に亡くしています。失った悲しみからどうやって立ち上がって歩いていけばいいか、その時の気持ちも振り返りながら作りました。

06. パブリックメディア
偏った報道、真実を捻じ曲げるメディア、それを鵜呑みにする世間。この汚れた関係をパブリックメディアというタイトルに込めました。間違った報道に対しては当然腹が立ちます。しかし騒ぎ立てるパブリックメディアに対しては、どんな言葉も熱意も通用しません。このやるせなさと苛立ちをどうやって押し退けるか、、、。それは同じように腹が立ってる者同士で繋がる事です。自分達が正しいんだと自信を持って、相手にもせずに冷ややかな目を向けておく事です。周りがとやかく言おうと、繋がってる者同士が繋がっていればそれでいい。強い言葉を詰め込んでいる分、重くならないようにBPMを速くして軽快に仕上げました。

07. 彼方
犬や猫の殺処分数は年に約13万頭。人間の身勝手な都合で愛護センターに運ばれ、いくつもの命が失われています。この現実を何かしら訴える歌は作れないだろうかと思って、でも直接的になるのは言葉の使い手ではありません。また別角度から動物の命の重さを切り取ろうと思って、子犬を拾ってくるという形にしました。主人公の心の状況とその子犬の心の状況を重ね合わせる事で、拾ってきた事を回想として描く事が出来ました。主人公とペットの愛情の部分で、この問題を考える脳を刺激できたらなと。アメリカの19世紀の女性作家が「雲の向こうは、いつも青空」という言葉を残しています。この曲では雨の日に出会ったというのが伏線になっているので、その言葉からヒントをもらって『彼方』というタイトルを付けました。

08. 風船が割れた日
『風船が割れた日』というタイトルは変換したら「欲望の爆発」といった意味合いです。ストレスが溜まりに溜まってコントロール出来なくなり、「もうどうにでもなってしまえ」って全てを投げ出したくなるような事って誰でもあると思います。この曲はその気持ちをひとつの視点から書いてみました。想いを縁取りするくらいに大事に温めて来た恋愛があって、正式に付き合うこともなく付き合ってるようなまま別れた二人。やっぱりそうやって恋愛をしている時っていうのは盲目になってて、多少の風当たりも気付かないくらい強く進んでいける訳です。でもそれをなくして、現実にぶち当たってもういっぱいいっぱいになって。主人公は柄にもなく、あんなに温めて来た時間も切りさってしまうほどに、当時のその子とベッドに溺れてしまいたいと思うのです。歌詞を書き終えた時はお蔵入りだなと思ったけど、アレンジまで終えてこのCDのカップリング曲で一推しの曲になりました。

09. 宇宙エレベーター
僕はタイトルを歌詞中で使う事が年に1回あるかないかくらいで、これも一切使わずに表現していくつもりでした。でもメロディーと綺麗にそのフレーズが重なったから下手に弄らない方がいいやと思って、とにかくその「宇宙エレベーター」と歌う所の心地よさの為に作ったみたいな所が大きいです。あとはタイトルに寄せて、テクノサウンドでエレクトロドラムを使ったアレンジにしました。「宇宙」と聞いて僕がパッと思うのは、果てしなくて解放感に溢れた感じ。だから色んな辛い事や悲しい事も宇宙に解き放つイメージというか、とにかく感覚で聴くような楽曲です。現実が押し寄せるから、みんな心でファンタジーを作り出す。心はすぐに沈んでしまうし楽しく生きたいから、ライブや映画を観に行ったり、好きなものをたらふく食べたり、綺麗な景色を見たりしてなんとか保ってる。そういう行動こそが宇宙だなと思って歌詞を書きました。

10. Dear
弟に向けて作った曲です。去年の夏に帰省した時に弟にビデオ撮影をしてもらいました。その時に奴は段差で足を捻って痛めてしまった訳です。それを僕はずっと知らなくて、相当な爆弾を抱えてしまい病院に通ってる事を年が明けた頃に初めて知りました。「ごめん」とはLINEで伝えたけど、兄弟という間柄だから申し訳ない気持ちとは裏腹に軽い感じで送りました。真面目になるのはなんか恥ずかしいから。そう思った時に、今まで兄弟という関係で笑いに逃げて、どんな想いもちゃんとは伝えた事がないなと感じました。それがこの歌を作るきっかけでした。こういう感謝とか記憶とかありきたりな内容っていうのはそのまま伝え出すとつまらないものになってしまいます。だからシンプルなところはシンプルなうえで、いつもより捻る意識を持ちました。兄弟のみならず誰だって近い存在はいて、近すぎるからちゃんと向き合うのはいちいち恥ずかしくて、なんとなく遠回りしてる所があると思います。血が繋がってる関係ってそういうものです。だから改めてそこに気付いて大切に想えるきっかけの曲になったりすれば嬉しいです。


3rd SINGLE『Post-it
2017年4月19日(水) 発売
SFPL-0001 ¥500

〈収録曲〉
1. 希う
2. Whatever
3. ランナーズハイ
4. remember to forget
5. 9番
6. パブリックメディア
7. 彼方
8. 風船が割れた日
9. 宇宙エレベーター
10. Dear 

〈特典〉
・ボーナストラック収録
・購入者限定ページQRコード
散文詩(全4遍)付き

 

f:id:TawaraRyosuke:20170409173658j:plain

『Post-it』 トレーラー映像を公開

先月の終わりに1分弱の曲を書きました。4月19日に発売するシングルのボーナストラック用に書き下ろした楽曲です。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170409173658j:plain

 

f:id:TawaraRyosuke:20170409173758j:plain

 

曲名はシングルタイトルと同じ『Post-it

ボーナストラックとはいえ、このCDにとって重要な役割を担ってます。

 

本来であればすんなりA面曲のタイトルがシングルタイトルになります。それでこそシングルですから。だから今回はトリプルA面なので『希う/ランナーズハイ/Whatever』というタイトルで発売するつもりでした。

 

なのに何故、『Post-it』という別タイトルを用意したのか。

 

去年の9月に『ランナーズハイ』、10月に『Whatever』が完成しました。そして今年初の制作で『希う』を書きました。この3曲が本当に会心の出来でライブでも必ず歌っていくけど、次のアルバムまで期間もだいぶ空いてしまうから、シングルとして一度音源を出しておく事に決めたのです。

 

その為にはカップリング曲が必要です。曲のストックは『希う』を完成させた時点で沢山あったからそれを収録しても良かったんですが、カップリングという枠組みを楽しみたいなと思い新しく作る事にしました。

 

A面タイプの曲やアルバム曲と違って、カップリングは最も自由に出来る場所です。いつもより動けるスペースがだいぶ広くなります。とはいえそれはA面曲やアルバム曲のように、ちゃんと伝わるようにここからここまでというボーダーラインがあるのをあえて超える訳なので、その点は慎重にならなければいけません。

 

そこにさえ慎重になれば、あとはどの位置に立ってみるかだけの話です。

 

シングルは6曲入りで、6曲目は中学高校時代に作ってた曲をリメイクして録り直そうという考えでした。9ヶ月前に作ったシングルもそうなっています。となれば、今回は既にA面曲で3つ埋まってるので2曲作れば大丈夫です。

 

そうして『remember of forget』と『9番』を2月中旬に完成させ、リメイクする曲も録り終えて、CDにする為の曲数が揃いました。

 

しかし「これでよし!」と思って最終調整に入っていた頃に、予定が一気に引っくり返ったのです。2月22日に発売されたASKAさんのアルバム。『Too many people』、これを聴いて僕のクリエイター魂に火がつきました。

 

2曲作って落ち着いてる場合じゃない。ホットココアをペンに持ち変えて、僕の中のポップスは僕の知らなかった世界まで振り幅を広げてくれました。

 

リメイク曲もCDに収録するのは辞めにして、カップリングは全て新曲で固めてしまおう。アイディアは水のように流れてきました。言葉やメロは降りてくるどころか、稲光のように落ちて来ました。3月はほんとに神ってた気がします。

 

同じ人が作ったとは思えないような作品を作りたいといつも思ってるので、自分の落ち着くポイントを取っ払って、あえてこっちに行ってみるというやり方を今回は必要以上におこないました。

 

アレンジは詞と曲を完成させたときのイメージとは違う方向に行ってみたり、大好きな転調を更にパワーアップさせました。コード進行も曲作りで拘りのひとつですが、発想自体を極端に捻じ曲げて面白い展開を作った次第です。

 

そういった点というのは作り手の魔法だと思っています。そんな音楽的な構築はいちいち聴き手に伝わる必要もありません。だって音楽は感じたままでいいから。要はその感じ方の為に、こういうエッセンスが実は隠されてるんだよっていう話です。「この歌いいな」と思う誰かの曲でも、「良いと感じたから良い」という他にありません。でもその「いいな」の為にどんな魔法を組み込んでいるか、僕は作り手である以上そこを知る必要があります。

 

『パブリックメディア』と『風船が割れた日』を作って合わせて7曲になった時、シングルなのに繋がりを意識するようになってました。どんなタイプの曲が足りないか、どうやって他の曲を活かすか、狙いを定めて『宇宙エレベーター』と『彼方』と『Dear』を作って、通して聴いた時にしっくり来るように曲順を並べました。

 

これだけ曲数が増えてしまった結果、『希う/Whatever/ランナーズハイ』という単なるトリプルA面として出す事にはしっくり来なくなったのです。

 

これはアルバムではないし、カップリングという形で制作した曲ばかりなので特に統一性はありません。でもいくら幅を広げて作ったにしろ、同時期に量産した曲であるという事は芯にあるものはそんなに変わらないんじゃないかなと思いました。自然とそうなってるんじゃないかなと。

 

枝の伸び方がそれぞれ違っても、全部同じ幹から生えたものです。僕は集まった曲から幹を見つけ出そうとしました。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170409175204p:plain

 

そう考えた時に頭にずっとあったものが呼び起こされました。『風船が割れた日』という曲が完成した時の事です。データをローマ字保存する時に、”u”をひとつ打ち忘れてフォルダ名を”Husen“と打ってしまいました。この”Husen”、すなわち付箋。僕は偶然は必然だと思って生きていくタイプの人間なので、このワードがなんか妙に印象に残った訳です。

 

ランナーズハイ』を作ったのが9月なので、そこからの7ヶ月間で起こった出来事が曲に絡んでいくのは自然な流れです。その期間の出来事はほんとに色々あって、その中にはきっと皆さんと共有できる事もあります。

 

ただそれを直接的に投影するのは違うので、それらは全てポップスに書き換えています。「曲で自己表現をしたり自我を込める事はしたくない」というのは常に持ち続けてるし、いかにエンターテインメントであるか、マジョリティーなものであるか。

 

掘って掘って掬いあげた結果、僕が見つけ出したのは”言葉”という共通性でした。これは並んだ曲を聴いてもらった時に分かると思います。タイトルとして考えた時に”言葉”とか”Word”だと納まりが効かないので、それと同じ周波数を持った言葉として頭にあった”付箋”が呼ばれてきました。

 

ボーナストラックの曲は、タイトルの意思になぞらえるように書きました。お別れの時や立ち止まっていた時とかに誰かに言われた言葉、自分のその時の感情とリンクして感動した言葉、あの時からずっと貼り付いたままの言葉が誰の中にもあると思います。僕にも忘れられない言葉があります。

 

その言葉が胸に貼り付いた日へタイムリープするような、もっと言えばその言葉をくれた人がその言葉を言う為に交わっている過去にまでタイムリープするような。言葉そのものには語源があります。紀元前何世紀の話です。それと同じように誰かが発した言葉にも生まれた場所があります。その人の生きて来たどこかのポイントでその瞬間に繋がる語源があります。ここに触れる事が出来るような旅を『Post-it』の曲達が誘えたらなという気持ちです。

 

ずっと『時間』を歌うキーボード弾き語りシンガーソングライターとしてやって来たから、どんなテーマであれ過去とか未来とかいう話からは切り離せないんですね。結局、そこへ繋がってしまいます。

 

もしかしたらあなたも誰かにとっての付箋を貼り付けてあげてるかもしれません。それは言った本人にはわからないことです。でも誰かがその言葉を胸に生きているかもしれない。

 

そうであると共に、言葉は凶器にもなります。言葉は廻っていきます。世間や報道はもちろんのこと、発した言葉やSNSで呟いた言葉にだって責任が伴います。人を傷付ける事は簡単です。良くも悪くも言葉は重いから。この事もちゃんと感じてほしいなと思っています。

 

いつの間にか10曲になったけど、6曲入りで考えてた時と同じように価格は500円のままで設定しました。そこには多くの人に聴いてもらいたいという一心のみです。

 

是非、皆さんの感想を聞かせて下さい。このCDが皆さんの付箋になりますように。トレーラー映像も本日公開したのでご覧下さい。

 

www.youtube.com

 

完全自主制作なのでライブ会場等の手売りと個人オンラインショップでの販売となります。今まで使っていたショップが販売しづらくなった為、別なところを模索中なのでもうしばらくお待ち下さい。今週中には予約できるようにします。

 

あ、あとこちらのコンテストに『希う』で参加してます。Twitterアカウントがあれば投票できるので宜しくお願いします。皆さんの一票が鍵を握ってるので拡散もして頂けると幸いです。

eggs.mu

 

 

あと10日で発売です。大事なのは発売してからだと思ってます。売っていかなければいけないからという事ではなく、ひとつの作業を終えてそこから次に何を念頭に置いて活動していくかという事です。

 

ひとつ踏み外せばもう終わってしまう時期に来ています。もしも僕に唯一自我を宿せと言うならば「必要とされたい」という事だけです。自分の作る音楽をコンパスにして進んでいきたいと思います。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170409175054j:plain

 

Word is living

誰かを否定することで 自分が正義だと思い込む

誰かと比較することで 自分が優れてると思い込む

 

正しさを主張する為に わざわざ何かを見下すんだ

 

自分の耳に合わない音楽は

「どこがいい曲なのか分からない」と切り捨てる

自分の口に合わない食べ物は

「何が美味しいのか分からない」と切り捨てる

自分に似合わないファッションは

「何がオシャレなのか分からない」と切り捨てる

 

それを好きでいる人の気持ちも考えないで

それを作ってる人の気持ちも考えないで

 

子供の頃 体育の時間

自分には出来ない逆上がりを

軽々とやってのける同級生を見て

「こんなの出来たって何の意味もないし」って切り捨てた

 

そんなふうに生きてきた君は

自分に都合のいいものばかりで周りを固めた

 

沢山の人に「寂しい人だ」と

切り捨てられてる事も気付かずに

 

嫌いなら嫌いでいい

別に好きになろうとしなくていい

 

胸の中にしまっておけば平和なのに

いちいち誰かに伝えようとする

 

そうやって自分の好みのフィールドで話せる仲間を見つけ

同意を得る事で自分の正義に上塗りして

靴をどんどん大きくする

 

自分に合わないものは踏みつけて誇りを強くするんだ

自らその誇りを汚してしまってる事

他ならないというのに

 

君の好きなあれやこれだって

そんな君に好きになんかなってもらいたくはない

 

言葉は生き物だ

ジャケット&アー写撮影

先日、4月19日に自主制作シングルを発売する事を発表しました。

 

ずっと頭にはあったんです。「作ろう、作ろう」って。

でもたった1枚作るだけでも道のりがなかなか厄介だから、それを恐れて踏み出してなかったのです。

 

アルバムだって同じくです。自分の中で去年の年終わりに出そうと思ってたけど、結局踏み出せずに「2017年中には!」っていう事になってしまいました。ただこのアルバムに関してはとてもとても期待して下さい。着実に水面下で面白いほど進めています。今から煽っときます。

 

さて、今回やっと出せるシングルは『希う/Whatever/ランナーズハイ』のトリプルA面と、5曲の新作カップリング曲を合わせた全8曲です。今伝えれるのはそれくらいのことなので、詳細はこの1ヶ月で順々にお伝えしていきますね。

 

それで先週の3月10日、そのシングルのジャケット撮影とアー写撮影をしてきました。

 

この日に向けて構想を前々から練りに練ってPCで構図を作成しました。どんなテーマで、どんな感じで、何処で撮るか、、、。

 

「これ!」って固まればそこからはその波に乗るだけなんですが、そこに行き着くまでが一苦労でした。

 

なんせジャケットが悪ければ曲が良かろうと台無しです。人間と同じで、見た目が悪ければ中身もそう捉えられてしまいます。

 

こんな事を書いてる僕ですが、この日の撮影で着てきたファッションは協力してくれた皆から大不評で、会うなり速攻で上から下まで着替えさせられました。服を買いに行くところからのスタートでした。

 

店の中で着替えを済ませて、そのまま撮影場所に移動。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170315014602j:plain

 

原宿の東急プラザ。

沢山出した候補の中から、最終的にここを選びました。

ここは入口が万華鏡のようになっていて、異空間に吸い込まれたような気分になれます。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170315013841j:plain

  

まずはこの屋上にある「おもはらの森」という所で、表と裏ジャケットの撮影に臨みました。

 

撮影に使われたカメラは、夜の暗さの中から僅かな明るさを抽出して景色や被写体を映えさせてくれます。2年前に発売したミニアルバム『Quick as Lightning』でも、イメージを跳び越えてカッコいいジャケットに仕上がりました。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170315014738j:plain

 

写真はほんの少しの妙で劇的に感じ方が変わるし、言葉よりも正確に心を表せます。素敵なセンスを向けられてほんの少しの妙を探りながら、何枚も何枚も撮りました。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170315014929j:plain

 

アー写は全部で3カット用意してて、2カットは同じく「おもはらの森」で撮ります。全身に僕なりの坂口健太郎を宿らして、寒さに体を震わせながら無事録り終えました。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170315014955j:plain

 

あまりにも寒すぎて、避難するように屋上から室内へ。ラストは万華鏡のような入口でのアー写撮影です。エスカレーターに挟まれた中央の階段に立って、下から上の角度で撮影しました。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170315015023j:plain

 

そういえば乃木坂46の『世界で一番孤独なLover』という楽曲のMVのロケ地はこの入口でした。頭の中で何度かその曲が流れてました。曲もいいけど、MVがかなりカッコいいので是非見てみて下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=r3HFM3aSyyM

 

屋上と違って人に沢山見られるからここでの撮影は早目に終わらせようと思ってたものの、下から上の角度は僕のポテンシャルを際立たせるものでした。実にカッコ悪い顔ばかりで、その場で色んな考えを膨らませてどう立つべきか模索しました。万華鏡を活かすにはこの角度しかなくて、屋上でのカットを超えるくらい時間がかかったのです。

 

途中から僕は一切、周りの人混みが目に入らなくなっていました。あの瞬間、本格的に坂口健太郎に入り込めてた気がします。ようやく僕なりの「これだ!」と思えるものが撮れて、全撮影を終えました。

 

どんなテーマで撮ったかとかもっとひとつひとつ説明したいところだけど、ジャケやアー写を公開した時の感じ方が薄くなってしまわないようにこの辺にしときます。

 

来週には公開できるかな。楽しみにしてて下さい!

 

そしてこのCDを手にしてくれる人がいる事で、僕だけではなく撮影に協力してくれた大好きな人達の事も間接的に伝わると思うととても嬉しいです。

 

音楽は円と言う名の縁で繋がってく。

 

 

3rd DEMO SINGLE

『希う/Whatever/ランナーズハイ』

2017.4.19(水)Release 500 yen

3月11日

中学校を卒業した日、僕はそのまま友達の家に行ってテレビゲームをしてました。夕方頃に片付けてチャンネルを変えたら、そこには恐ろしい光景が映ってたのです。

 

津波が一瞬にして街を飲み込む映像を見て、これが同じ国で起きた事だと思えなかった。何度も繰り返される映像を見て、僕の小さな頭はこの国が分裂したとさえ思った。

 

24時間毎日どのチャンネルもこの大震災のニュースが流れ続け、東北から遠く離れた人達もこの現実を自分なりにギュッと抱きかかえた。知ってから胸が痛むまでにかなりの時間差があったと思う。

 

僕は何事もなく日々が廻っていく住んでる街の雰囲気が不思議でした。被害を受けなかった場所はそれでいて当然だし、そうでなければ国全体が崩れてくけど、ムズムズした感情が続きました。きっと色んな人が同じようにムズムズしてて、街は平常を取り繕ってた気がします。

 

跡形もなくなった街の姿、遺体を捜索する自衛隊、避難所でギリギリの生活をする人々、、、言葉にならない悲しみが画面を跳び越えて突き刺さりました。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170311224757j:plain

 

あれから6年。

 

未だに沢山の人が避難生活を送っています。6年も経って復興してきたと言っても、実際は復旧さえ出来てない場所がまだまだ沢山あるのが真実です。報道では語られません。

 

大切な人をなくして、大切なものをなくして、大切な場所をなくして、そこから立ち上がって前へ進んでいけるほど人は強くない。そんな強さを持ってこの世に生まれおちた人などいないと思います。

 

それでも沢山の人が必死に生きています。希望をひとつずつ作ろうとしています。強くなくても、ひとりひとりの精一杯を結集させて皆で強さに変えている。

 

中には立ち止まってる人がいて当たり前だし、立ち止まってる人に直接声をかけてあげる事は、ニュースでしか知らない僕には出来ません。どんな言葉も無責任な気がします。

 

だから遠く離れた人達が今日の日にポエムのような文章を並べたって、とてもカッコいいと思うんです。言葉じゃなくて、そこから溢れる想いのほうが大切だから。

 

「深く考えすぎたら被災者の方は前を向こうとしてるのに逆に悪い」とか「私達は私達で楽しく暮らす事が被災者の為にもなる」とか「いつまでも震災のニュースを流すべきじゃない」とか、それがそうだとしても被害を受けなかった人間が自ら言うべきことではありません。

 

プラスだと思って発した意見が「たしかにそうだ」となって輪を作るのは、同じく被害を受けなかった人間の中でしかないかもしれない。

 

そしてマスコミやメディアはつまらない報道で時間を弄んでないで「未だにどんな生活が続いてるのか、どんな想いを抱えた人がいるのか、街はどこまで復興しているのか」という事を3月11日に限らずもっともっと訴えかけてほしい。

 

人は真ん中からしか周りを見れない生き物だから。周りに行って視界を研ぎ澄ませることなんて出来なくて当たり前だから。

 

見える位置に6年前の事を、そこからの未来の話を置いてほしい。明日になったら、いま想ってる人だって1年後まで自分の真ん中から見えないところへ他な何かと入れ替えてしまうかもしれない。

 

「忘れないでいる事が大切」ってよく言うけど、きっと誰も忘れてはないと思うんです。何処にいたってあれほどの事実を忘れるはずはありません。だから忘れない事をもうひとつ、今日の日にちゃんと僕は付け加えたいと思います。

 

6年前の事だけじゃなくて、6年後の今の事を。

 

東日本大震災から3年。10代の生徒が初めて語ってくれた、過去と今と未来のこと。「SCHOOL OF LOCK! 未来新聞」

ASKAさんへ

 

『Too many people』は邦楽史上最高な名盤だと思う。

 

あまりにも言いすぎたら宗教じみてしまうけど、J-POPは今まで色んな事を見落としすぎてると凄く思った。こんな傑作が出来上がるほど、この世界には素晴らしい言葉や音階や楽器があるというのに。その全てを有意義に使えてない音楽が時代を埋めて、いつしか濃厚な音楽を理解出来る人が少なくなって、「深い」は「ぶっ飛んでる」と言われるようになった。

 

とはいえ、大多数を占めるそんな脳ミソに合わせる必要はない。今、これを読んでくれてるあなた達によってJ-POPは辛うじて救われています。音楽を読み解ける皆さんによって。

 

でもこんな世の中にASKAさんの新譜は大きな評価をされました。凄いものを凄いと思える人が沢山いました。勿論、この円をちゃんと分かる人はガムを噛むように自分なりに歯形を付けたでしょう。しかし分からない人にも、滲み出る何かが伝わって何故か泣けてくるって現象が生まれたんです。初めて噛んだガムを美味しいか美味しくないかの基準で決める間もなく、「懐かしい」とか「優しい」とか「愛しい」とかが広がったんだと思う。

 

僕はASKAさんの誕生日に渋谷のタワーレコードで購入しました。

 

f:id:TawaraRyosuke:20170227235439j:plain

 

f:id:TawaraRyosuke:20170227235509j:plain

 

そして、自宅でひとり視聴会をしました。CDを聴くことを日常に同化させないで、まるで映画を観に映画館に行くような気持ちで、歌詞カードを読みながらCDを流して聴いたのです。それだけに集中した63分。

 

聴いて溢れまくった想いは書き出したらキリないので、感想は次のブログで綴ります。このブログで綴りたい本題をまだひとつも綴れてないので、、、。

 

 

先日、YOUTUBEに『ASKAさんへ ~episode2 』というタイトルの動画を公開しました。『reverse』というオリジナル曲の音源のリリックムービーです。

 

www.youtube.com

 

reverse

 

作詞・作曲・編曲 田原凌祐

 

君はちゃんと見付けてないんだよ

僕はちゃんと見付けてないんだよ

月の裏側が見えないように

 

誰も皆 隠し持ってるカードがある

めくられないように守ってる

僕らが僕らでいる為の神経衰弱

 

欲しがったり 拒んだり

シーソーのように愛情を 君と僕でゆらゆらさせてる

時を重ねてお互いに 言葉がなくても通じ合える

傾く角度を変えてあげる優しさを持てるようになるんだ

 

月が滲む あれは満月か三日月か

それも分からないくらい この目は悪くなったんだな

今、僕の心が映し出す月の形がある

君のことを好きでいたい いさせて

 

「僕の全部で守り続けるから」

「一秒たりとも見逃しはしないから」

そんな決め台詞は風のように吹き抜けていく

 

芝生に寝転がってくすぐってみたり

急にかくれんぼを始めてみたり

日常の何気ない君に折り目がついてる

 

天井も壁もない部屋で 星空が見えるのは

当たり前の事なんかじゃないんだ

それ以上は知りたくない そんなにも踏み込まないで

全てを知る事が本物の関係だとは思わない

 

虹の麓 目指したって途中で見失ってしまう

それもそのはずさ 遠くからしか見えない景色もある

今、僕は誰かから見た虹の麓に立ってるのかもな

君に会えたことが多分 そう

 

願い続けたその先で 止まった時計も動き出すだろう

動き出したその時に 止まってた訳じゃないと気付けるだろう

 

出会うよりも前の君の事は 有耶無耶なままでいい

僕らが僕らでいる為の処方箋

 

月が滲む あれは満月か三日月か

それも分からないくらい この目は悪くなったんだな

今、僕の心が映し出す月の形がある

君のことを好きでいたい 

ずっと 好きでいさせて

 

 

既に聴いてくれた人もいるでしょう。この曲はTwitterでもツイートしたように、ASKAさんが誤認逮捕で拘留されてた間に制作したものです。

 

去年の11月28日、電気が走るような衝撃が体いっぱいに起こりました。そこからの酷い報道は皆さんもご存じの通り。拘留されて何も言えない本人をいいことに、報道とは呼べない想像のニュースが連日並んだ。悔しくて悲しくて、信じてて祈ってて、あの痛くて長すぎた3週間。あの日から僕の音楽は完全にシャットダウンして、何も手につかずにいました。

 

でもTwitterで同じ想いの人達と共有してるうちに、押さえつけられてた感情が溢れて、その時に何故か最初の2行の歌詞とメロが同時に降りてきたのです。僕はそれを何度噛み締めても何を表してるのか全く分かりませんでした。ただ、シャットダウンしてたところに降りてきた偶然を偶然にしてしまうのは違うという事だけは理解出来ました。

 

ここから歌を作ろう。僕は何とも言えない現実を音楽に落とし込もうと決めました。

 

しかしこの複雑で感情ばっかりが先行する現実を真っ直ぐに歌にしたところで、音楽としては全く機能しません。そうじゃなくて些細な所を繋いで、日常に置き換えること。この現実と関係ない所を歩く人にも伝わるような形にフィットさせること。これに尽きます。

 

僕は気持ちが先走らないように表現を用いて慎重に歌にしました。

 

ASKAさんとファンの関係であるように、この世にはいくつも「君と僕」という関係が存在してます。誰かが誰かと繋がりを持ったならそれはすべて「君と僕」の世界。家族や恋人や友達、みんなそうです。

 

その関係が良いもので在り続けるには、お互いがお互いを認め合って、シーソーのように時に相手に合わせてあげる事も大切です。そしてここからが大事で、相手を知りすぎないって事も大切なんじゃないかなと思うんです。

 

憶測が憶測を呼んで、加熱する報道と鵜呑みにする世間。知る権利というものがこの世にはあります。だけどそれなら知らなくていい権利というのがあってしかるべきなのでは。報道の自由のすぐ裏側にあるのはプライバシーの保護です。

 

「ゲス不倫」と言われて叩かれに叩かれた去年の1月の報道。不倫の事以外まで、マスコミは追いかけました。昔から変わらない「弱い所につけこむ」という体質。

 

しまいにはLINEが流出して炎上は更に燃え上がりました。しかしメディアは「LINE流出」という大問題には触れませんでした。悪い事は悪いと言って必要以上に世間を散らかすくせに、おかしい事に対しては鍵をかけたまま。

 

文春やFRIDAYをはじめとした虐めの群れは恥の上書きです。情報をゲットしたら鼻を高くして調子に乗って、あらゆる人を傷付け続けながら何年も何食わぬ顔で存在してる。

 

その有り様を見て、僕は誰かの尻尾まで掴む必要はないと思いました。好きだからこそ、大切に想ってるからこそ、人は相手の事を沢山知ってあげたいと思う生き物です。でもそれが息苦しさを生んだり、逆に相手を傷付けたりしちゃう事もある。知りすぎて自分が傷付くこともある。

 

誰だってめくられたくないカードを胸に忍ばせてます。長い付き合いの関係ほど、そういうものです。

 

全体的に難しい歌詞かもしれないけど、2番のBメロの2行だけとても真っ直ぐ。

 

“それ以上は知りたくない そんなにも踏み込まないで

全てを知る事が本物の関係だとは思わない”

 

この2行を幹にして枝や葉を伸ばしてると思ってもらえたら、この曲はきっと感じやすくなると思います。表現の間をくぐりやすくなるはずです。拘留期間中に目にしたいくつものニュース、即ちマスコミの群れがこの歌のきっかけになったのは言うまでもありません。

 

そして僕はこの歌詞を書き上げて、『reverse』というタイトルをつけました。「表と裏」というような意味をこの曲に持たせたいと思ったからです。

 

人の心には表と裏があります。心の奥に入っていくのはいいけど、裏側まで行く必要はない。カードは表のままでいいんです。その絵柄まで知らなくても楽しくやっていける。だから、「好き」っていうのは分かりきったうえで、”好きでいさせて”って話なんです。

 

これらをふまえて聴くと、きっとこの曲の響き方はまた変わると思う。ここまで読んでくれてありがとう。

 

 

2年半前に公開した『ASKAさんへ』という動画。2014年5月の事件、あそこから皆さんの想いが集まって完成したひとつの形。気付けば10万再生を超えました。今もあの動画にASKAさんに対してのコメントは増え続けてます。

ASKAさんへ - YouTube

 

TUG OF C&A の皆さんと一緒に作り上げたものが確かにある事。あの動画を公開した日、僕はこんな今が来るなんて想像もしてませんでした。皆さんの中にもある記憶。それほど未来の圧力が半端なかったんです。でもあの動画の中にあるメッセージのいくつもが現実のものとなってること、なってきてること。

 

「人は願うものがある限り果てしない」

 

ASKAさん、本当にありがとう。

新曲 『Whatever』の秘密

11月12日(土)、『SOTETSU LOCK ON MUSIC 2016』という野外ストリートフェスに出演してきました!

 

f:id:TawaraRyosuke:20161118103624j:plain

 

f:id:TawaraRyosuke:20161118214642j:plain

 

相鉄線を様々なアーティストが移動して、25分×2ステージを行う回遊型音楽フェス。僕は、1本目が11時50分から湘南台駅にて、2本目が13時55分から瀬谷駅にてというタイムテーブルでした。

 

この日のセットリストを組む中で、何よりもやりたい楽曲がありました。『Whatever』という初披露の新曲です。

https://youtu.be/I3Y7HjrJuLo(フル音源)※イヤホン推奨

 

この曲に着手してた時期の僕は、東京国際映画祭にも行ったりして映画を沢山見てました。「琴線に触れる、鳥肌が立つ、涙が溢れる」、そういった心が洗われるような感情体験をしまくってたわけです。それに感化されて、音楽で鳥肌を立たせたいって気持ちが強く生まれました。

 

”映画のような楽曲制作”

これを念頭に置いて構成を考えていった結果、Aメロ×4→Bメロ→サビ→Bメロ→サビ→Aメロという特殊な展開になりました。

 

そして僕が感動する映画は、セリフのないシーンでどれだけ伝わってくるかという所が大きな鍵を握っています。登場人物の表情の妙、映し出される背景、息を飲むような沈黙、、、。歌でいうとその部分が間奏だと思います。

 

僕はもともと、間奏の重要性を掲げてきたから今に始まった事じゃないけど、今回はもっと手塩にかけたいと思いました。ラストAメロ前の1分半に渡るコーラスワークはまさしくそれです。

 

映画的である上でもうひとつ。ある種の洋楽チックでありたいなと、そういうスケール感を狙いたいなという意識がありました。例えば洋楽の歌詞って、邦楽の歌詞と比べてそこまで意味がないんですね。というのは、描かれてるシーンがピンポイントで、ストーリー性や展開でぐっと来させるのとは違う訳です。邦楽のリリックが生絞りのオレンジジュースならば、洋楽のリリックはミキサーにかけられたオレンジジュースだと僕は思う。

 

僕が大好きなアーティスト、ノエル・ギャラガ―の歌詞はフレーズとして胸に来るものばかり。何か分からないけど、捉えようがないんだけど琴線に触れてくる魔法。

 

「伝えたい事がなくなった」って言ったら語弊があるけど、最近は「もうそこまで意味を求めなくていいんじゃないか」っていう想いがあります。自我とか人間観とかそこから離れたところで歌を書きたいし、共感の中で音楽をやりたい訳じゃないし、自分を伝えたり重いこと歌ったりでメッセージ込めまくって感動させるのは予定調和というか。

 

これまでも詞にしろメロにしろ、意識的な部分とフィーリングの部分を混ぜ合わせて構築してきたけど、最近の気持ちの変化でフィーリングの部分の比率が上がってからは、歌を作る事が前ほど苦じゃなくなってきました。

 

『Whatever』では、夫婦や恋人や友達や家族だったりの関係の中で、ずっと傍に居たいという率直な気持ちを歌っています。沢山の記憶、思い出があって、それをふたりで浮かべて微笑んでるイメージです。

 

きっとこれまでならその記憶を描いて"今"を際立たせただろうけど、そうじゃなくて、今を描く事で「この二人にはこんな記憶があったんだろうな」っていう想像に任せたいなと。描いた所から、描いた所よりも描いてない部分が見えてくれば面白いと思ったのです。

 

聴いてくれた人が自分の中のこの曲の「君」を浮かべた時、一緒に記憶が蘇って今が物凄く愛おしくなってほしい。

 

Aメロの「Nobody Knows」は「誰も知らない」という意味だけど、"二人だけの世界"というのを強調する為に頭に繰り返し持って来ています。日本語と英語の混ざり具合という邦楽特有の強みも活かしながら、今作では全体的に新しいトライを沢山やれた気がします。

 

f:id:TawaraRyosuke:20161118103138j:plain

f:id:TawaraRyosuke:20161118103210j:plain

f:id:TawaraRyosuke:20161118103304j:plain

 

この曲を12日は2ステージともラストに歌いました。アカペラで歌い始めて、合図と共にサウンドが鳴り始めて、そこに重ねるようにキーボードで弾き語り。良く晴れた青空に、『Whatever』は想像を遥かに超えて似合ってました。

 

これを歌いながらずっと鳥肌が立ってた。次のパートへ行けば行くほど、自分の中でゾクゾクを味わった。歌っててこんなにもダイレクトに心が震えたのは初めてでした。

 

自分の中だけの温度で終わっては意味ないけど、聴いてくれてた人達との距離がどんどん近くなっていった感覚が確かにありました。リスナーが心で返してくれてるなと。目に見えない事なんだけど、良いライブが出来てる時って分かります。空間のメタファーっていうのかな。

 

今後のライブで確実に毎回、ラスト曲として歌っていくでしょう。皆さんの想像力、皆さんの今を持ち寄ってほしい。絶対に生で聴いてほしい楽曲です。

 

感動だったり、ワクワクだったりドキドキだったり、言葉にはならないそういう類の共有を多くの人としたい。言葉のない幸福感を。音楽の極みって最後はそうなんじゃないかな。

 

ライブで会いましょう。